英語学習全般
渡部昇一氏の朝の英文音読
世界的な英語学者で、「知的生活の方法」はじめ数多くのベストセラーを生みだし論壇で活躍する上智大学の渡部昇一名誉教授。80歳という高齢にもかかわらず、その「知的活動」は衰えを知らない。その渡部氏が毎朝日課にしているのが、英語の音読だそうです。
僕が購読している「月刊・世相」(*注)の「世相を斬る」という対談記事で、渡部氏が日課の英文の音読について述べていたのを見つけました。毎日15分、長いと30分は音読をし、読む本は英文学の名作が中心。今はマコーレーの『フレデリック大王』を読んでいるとか。
英語学習者に役立つエピソードだと思うので、この竹村健一・日下公人両氏との対談の一部を「世相・2009年8月号」からそのまま引用したいと思います。
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(「世相を斬る」より)
渡部:毎日2ページ読んでもひと月60ページになりますから、1年間に500から600ページは声に出して読んだことになります。マコーレーなんて難しいですよ。あの幸田露伴にちょっと似ていますからね。しかし慣れてきますと他のちゃちな英語は読めなくなります。
竹村:やはり名文ですね。
渡部:名文ですね。読んでいるうちに調子に乗ってくるんです。
日下:リズムがいいですからね。
渡部:明治の日本の歴史を書く人は、みんなマコーレーを手本にしようとしてしていましたね。
竹村:そうですか。でも、こんなに読んでいる人はちょっといないでしょう。
渡部:マコーレーを読んでいると、自分でも実力がついたなと思うんです。19世紀の英語ですから、ちょっと引っ掛かる。
この単語はこんな意味では通じない ということがあれば、大きい辞書を引くのですが、「古」とか「廃」と書いてあって、もうその意味では使わないとなっている。
竹村:イスラム教の子供が、学校で毎日コーランを声に出して覚えるのも、頭のためにはいいことでしょうね。
渡部:いいといわれていますね。私はもう若いときみたいに反応が速くないからいまさら通訳する気はないのですが、英語が本職ですから、声を出して読んだ英語が同時に自分の耳に入るのはとてもいいと思っています。
日下:目で追い、口で読み、耳で聞く。三ヶ所同時に「読む」ことになりますからね。
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音読って、意外とエネルギーが要りますが、効果は抜群です。毎日実践したいですね。
*注:「月刊世相」は休刊となっています。